インフラPJの「V字モデル」現場の勘所|提案から保守まで、落とし穴を言語化する

9〜14分

リード

この記事は、NEC時代のITインフラ知識の全ての詳細編、「プロジェクトのV字モデル」です。提案から保守まで、各工程でつまずきやすい「落とし穴」を、あくまで一例として、現場目線で言語化してみます。

提案:既存理解と、保守ベンダーとの関係が9割

  • 既存システムの理解を、どれだけ迅速にできるか。自分が保守しているなら、それが一番強い。
  • 既存の保守ベンダーと、どれだけ良好な関係を築けるか。迷惑をかけないやり方を徹底する。
  • 基本的には値切られると思って臨む。特にファーストプロジェクトは。金額の妥当性だけでは受け入れてもらえない。
  • 値引きするなら、値引き率をちゃんと伝える。でないと、後々も同じ率でやらざるを得なくなる。
  • 既存システムでのお客様の困りごとを捉え、上席者に「そう、それが言いたかった」と思わせる。
  • 見積もりのスコープや前提条件は、思いつくだけ細かく書く。

要件定義・設計:提案との「一貫性」を切らさない

  • 要件定義も設計も、提案と一貫しているか、を常に確認する。
  • 基本(概要)設計と詳細設計で、それぞれ何を設計するかを事前に明確にする。
  • 運用を踏まえた設計にする。既存の設計内容を、事前に握っておく。
  • もらったパラメータを信用する(実機調査をしない)なら、それが正である旨を文書で合意する(見積もりの前提条件にする)。
  • 実機調査をするなら、運用メンバーと会話しながら勘所をしっかり聞き出す。

構築:可能な限り自動化する

  • 可能な限り自動化する。PowerShellを使えば、かなりの設定は自動化できる。
  • 現地入りする前に、コードを書いておく。
  • IaC(Ansibleなど)も早期に身につけておくと役立つが、環境の制約で使えないことも多いので、まずはPowerShellが推奨。

テスト:インフラの品質担保は、極めて難しい

  • 「要件通りに動く」以外の、「それって普通こうだよね」を、可能な限り網羅的に担保する(性能・見た目・使い心地など)。
  • お客様ごとに勘所(色使い・フォント・命名規則など)が違う。前任者などにこだわりポイントを聞くのがおすすめ。
  • テスト項目は、出せるだけ出す。出しすぎたら後から削ればいい。担保しなくていいテストケースなんて、ほとんどない。
  • テスト中も、目の前の項目をこなすだけでなく、気になる箇所が出たらしっかり追求する(見逃すと後で大問題になりがち)。
  • エビデンスは、高速で取得することを習慣化する。ただし時間はかけない。エビデンスに本質的な価値はなく、自分の身を守るための最低限を取る。

移行:静止点と業務影響を、正しく設計する

  • データ移行コマンドを知るべし。フルコピーと差分コピーで、時間とサイズに差が出る。帯域も注意。タイムスタンプも変わらないよう配慮する。
  • データ移行の静止点をどうするか。移行対象フォルダはどこか。誰が移行結果を確認するか。コマンドでやるのが良い。
  • 移行方式は、業務影響をしっかり説明する。再起動は必要か。何が止まるか。

保守:お客様との関係が、第一

  • 誰に何を聞けばいいか、何かあった時に誰に何を報告すればいいかを、整理しておく。
  • ピーク時間帯や、裏で動いている処理(インフラに影響するもの)を理解する。
  • 障害時の影響と復旧方法を、頭の中で無限にシミュレーションする。特にセキュリティインシデント時の対応は、備えが必要。

なお、OSとの境界や、ミドルウェア・業務アプリ・Linuxなど他OSとの共存については、この記事群の別記事でも触れていきます。

現場のリアル:小規模PJで、V字はどう回すか

中規模以上のPJは、正直、きれいにV字で進みます。PJ管理ツールで各フェーズの品質を担保しながら進めれば、大企業ではうまくいくようにできている。問題は、小規模PJです。

100万円・1ヶ月くらいのPJだと、悠長に1フェーズずつは進められません。だから私は、契約を待たずにPJ計画書を3時間ほどで仕上げ、契約翌日にキックオフ。その場で要件定義と基本設計を完了させ、1週間で詳細設計、残りで構築とテスト。

残課題はあるものの、運用で対処する前提で納品・検収まで持っていく。もちろん1ヶ月の売上はこれだけではないので、他のPJと並行で走り抜けます。

そしてもう一つ、よくやっていたのが、要件定義が完了した時点で、テスト仕様書を完成させること。要件が決まっているなら、それをどうテストで担保するかは、先回りで書けます。これぞ、V字モデルの真髄だと思っています。

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