Windows Server 実務のすべて|OS・AD・GPOからPowerShell自動化まで

13〜19分

リード

この記事は、NEC時代のITインフラ知識の全ての詳細編、「Windows Server実務」です。範囲が広いので、まずは全体像として要点を並べます(各項目の細かいTipsは、順次追記していきます)。あくまで在籍当時の一例として読んでください。

クライアントOSとサーバOSの違い

ざっくり言うと、「1人で使うためのものか、みんなで使うためのものか」です。クライアントOS(Windows 11など)は、目の前の1人が使う前提。サーバOS(Windows Server 2022など)は、ネットワーク越しに多数へサービスを提供し、24時間365日動き続ける前提です。

主な違いを表にすると、こうなります。

項目クライアントOSサーバOS
主な用途個人の業務・エンタメ・開発サービス提供・データ共有・管理
操作する人目の前のユーザー(1人)ネットワーク越しの多数
同時接続数厳しく制限(最大20台など)実質無制限(ライセンス次第)
グラフィック/音豪華(動画・ゲーム向け)最低限(映ればいいレベル)
稼働時間使い終わったらシャットダウン24時間365日、常時起動

サーバOSは、接続する人数分の「CAL(クライアント・アクセス・ライセンス)」が必要で、価格も数十万〜数百万円になることも珍しくありません。代わりに、Active Directory・DNS・DHCP・IISなど、企業ネットワークを構築・管理する高度な機能が標準搭載されています。

設定は、できる限り「コマンド(PowerShell)」で

  • ホスト名・IPアドレス・ドメイン参加などは、PowerShellでできる。
  • IPアドレスだけ設定してしまえば、あとは Invoke-Command でリモート実行できる。徹底的に効率化すべし。
  • Windows Update、共通設定、役割と機能、エビデンス採取も、Invoke-Command でコマンド実行できる。
  • Windowsの動作の裏では、たいてい何かしらのコマンドが動いている。cmdとPowerShellを駆使すれば、大概のことはできる(目視で判断するUI操作は難しいが)。

セキュリティと制御の要点(FW・GPO・レジストリ)

  • Windows FWは、必ず有効化する。テスト項目にも「FWが有効であることの確認」を必ず含める。運用開始後、無効で指摘されるケースが多い。ドメイン・パブリック・プライベート、全ネットワークを有効化する。再起動でネットワークプロファイルが変わり(NIC起動順の影響)、障害につながることも念頭に置く。
  • 各種設定は、基本的にレジストリに保存される。コマンドで変更できない設定でも、レジストリを駆使すれば変更できる可能性がある(適当にいじると壊れるので注意)。
  • レジストリではなくGPO(グループポリシー)に保存される設定もある。ローカルとドメインの2種、コンピュータポリシーとユーザーポリシーがあり、適用タイミングが異なる。AD環境なら、ドメインポリシーで一律設定できる。
  • 時間起点の自動処理は、タスクスケジューラを使う(タスクを作っておいてコマンドで呼び出すのも可)。
  • ログオンスクリプトは、ログオン時の設定変更や調査に使う。条件分岐で「社外ならA・社内ならB」なども可能。
  • GPOもログオンスクリプトも、やり過ぎると移行漏れの温床になる。設計書に設定内容を必ず明記すること。

AD・ファイル共有・WSUS

  • Active Directory:ドメイン環境を作り、ユーザー・コンピュータ・グループポリシーを管理する。DNS・DHCPも一緒に入れることが多い。信頼関係やFSMOなど、基本構成は技術書で押さえる。
  • ファイル共有:アクセス権の考え方と設定値をしっかり結びつける。組織改変・人事異動時の手順、フォルダ構造を設計初期に定義する。アクセスベースの列挙を活用。ドライブマッピングでは兼務者の扱い(何個まで許容するか)を決める。フェイルオーバークラスターとの関係、容量アラートの閾値も設計する。
  • WSUS:Windows Updateを管理する。パッチのリリースは第一水曜日。適用の流れを検討し、ADのGPOでWSUSのグループ分けをする。個別にインターネットへ出す運用だと基本適用されないので、組織で管理するならWSUSは必須(GPOで必ず参加させる)。サーバも年一くらいで、計画してからパッチ適用する。

RDS・仮想化・クラスタ・BIOS

  • RDS(リモートデスクトップサービス):接続ブローカー・RDWeb・RDライセンスで構成。CALがとにかく高いので、デバイスCALとユーザーCALの概念をクライアントに説明し、お得な方を選ぶ。何人までログオン可能か、何台まで障害を想定するか、しっかりサイジングしないと高負荷になりがち。
  • 仮想化:サーバ仮想化・デスクトップ仮想化・NW機器仮想化など種類がある。概念ごとに正しく理解する。
  • クラスタ:Windows Server標準のフェールオーバークラスターで、Hyper-Vやファイルサーバなどはクラスタ化できる。業務システムは各ベンダーのクラスターソフトが必要な場合も。可用性の算出根拠は慎重に、計算式を明示できるように。
  • BIOS:OSを起動する以前の制御。できることを押さえておく。

GPO・ログオンスクリプト・タスクスケジューラ・PowerShellを組み合わせられるようになると、インフラ自動化はほぼなんでもできるようになります。ここがWindowsインフラの、いちばんの武器だと思います。

現場で「ハマった」「効いた」実話

ホスト名は15文字以内。これ、地味ですが本当に大事です。あるとき、16文字のホスト名でサーバが立っていて(お客様側のチェック漏れでした)、たまたま先頭15文字が既存サーバと丸かぶり。

Active Directory上で名前が上書きされ、本番業務サーバに接続できなくなって、えらい目に遭いました。Windowsのホスト名(NetBIOS名)は15文字までしか有効にならない、という仕様を、身をもって思い知った一件です。

「論理的に説明できる仕組みは、大体PowerShellで実現できる」。そう悟った出来事があります。外部からの訪問端末が社内にいるときだけ適用したいGPOがあったのですが、前任者は「実現できない」としていました。

私は、ログオン時に確立済みのポートとIPアドレスを確認し、それを条件分岐にしたGPO適用タスクを組んで実現。お客様の部長に、めちゃくちゃ褒められました。UIでは無理でも、筋道を立てて説明できる処理なら、たいていPowerShellで形にできます。

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