PMOとは?現役コンサルが語る「本当の役割」と、未経験から入るための「見せ方」

12〜18分

リード

「PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)」という言葉は、転職市場でよく見かけます。でも「結局、何をする人なの?」と聞かれると、意外とはっきり答えられない。そんな方は多いはずです。求人票に「進捗管理」「課題管理」と書いてあっても、実態が見えてきません。

私は、事業会社(NEC)でPM/PLとしてプロジェクトを回したあと、コンサル(クニエ)でPMOを経験しました。両側から見たからこそ言えることを、教科書的な定義ではなく、現場のリアルで書きます。そして最後に、あまり正直に語られない「PMOだけを目指すべきか?」という本音まで、包み隠さずお伝えします。

この記事でわかること

  • PMOの実態(管理係ではなく、前進をつくる仕事)
  • NEC(小規模を多数)とクニエ(大規模を体制)で見た現場の違い
  • 市場価値として「PMOだけ」はどうか、という本音

まず、PMOとは

PMOは、プロジェクトを推進するPM(プロジェクトマネージャー)を支え、プロジェクト全体が円滑に進むように横断的に支援・整備する役割です。よく挙がる仕事は、進捗管理、課題・リスク管理、会議体の運営、資料整備、関係者間の調整など。

ただ、こう言葉を並べると「事務方」「管理係」に見えてしまう。ここが最大の誤解です。実態はもっと泥臭く、そして価値のある仕事です。

現場のリアル①:小さなプロジェクトを何本も回したNEC時代

私がNEC時代にいちばん苦労したのは、小規模なプロジェクトを複数、同時並行で回すことでした。時には「一人プロジェクト」まであった。小さい案件は、とにかくお金も時間もありません。だからこそ、やれることを、なんなら契約を待たずに、全速力でやり切って、どうにか着地させる

この「限られた資源で止めずに着地させるバランス感とスピード感」が、本当に大事でした。判断力も、スキルも、そして体力と健康も、全部が要る世界です。派手さはないけれど、ここで身につけた「資源が足りなくても前に進める力」は、後のPMOでも効く土台になりました。

現場のリアル②:大規模プロジェクトを複数人PMOで回したクニエ時代

コンサル(クニエ)では一転、大きなプロジェクトを、複数人のPMO体制で回す側になりました。ここでの難しさは、大きく2つありました。

ひとつは、すでに現場で信頼されているPMOメンバーの中に、後から加わって自分のバリューを出す難しさ。出来上がったチームに入って「で、あなたは何ができる人?」に応えるのは、想像以上に大変です。

もうひとつは、ユーザー側PMOとベンダー側PMOで、立ち回りがまるで変わること。同じ「PMO」でも、発注する側に立つのか、受ける側に立つのかで、見るべきものも振る舞いも別物になります。ちなみに、SIer出身なら勝手が分かっているぶん、ベンダー側PMOのほうが楽に感じました。

私が経験した2つの現場(ひと口にPMと言っても、形はさまざま)

あくまで私のケースですが、NECでは小規模な案件を数多く回し、クニエでは大規模なプロジェクトを体制で回しました。ただ、これは「事業会社イコール小規模、コンサルイコール大規模」という話ではありません。事業会社にも大規模PMはありますし、コンサルにも小回りの案件はあります。

PMと一口に言っても、規模も立ち位置(推進・支援・ユーザー側・ベンダー側など)も本当にさまざまで、ここで挙げたのはその一例にすぎません。大事なのは、いろいろな形の現場を経験するほど、プロジェクトを前に進める引き出しが増えるということです。

【本音】市場価値として、PMO「だけ」はどうなのか

ここは正直に書きます。まず、PMスキルそのものは市場価値が高いです。専門性としてのプロジェクトマネジメント力やリーダーシップを、ちゃんと持っている人は、実はそう多くありません。

ただし、「PMO経験だけ」だと、正直ちょっと物足りない、というのが私の本音です。定型的な管理業務の部分は、個人的には今後AIが担っていく感覚もあります。なので「PMOになること」自体を目的化するのは、私はあまりおすすめしません。ここは、PMOを勧める記事の多くが言わない本音だと思います。

補足:これはPMOを否定する話ではありません。「PMOという肩書きを目的にしない」だけで、専門性の核にPM/PMOを掛け合わせる価値は、むしろ高いという趣旨です。

だから、賢い「見せ方」は「専門性が主役、PMは当然できる」

ではどう戦うか。答えはシンプルで、PMOを主役に押し出すより、自分の専門性(IT・インフラ・セキュリティ・業務ドメインなど)を軸に据えることです。そのうえで、「その専門性に加えて、PMくらい全然できますよ」という見せ方をする。これがいちばん好印象だと感じます。

専門性が、あなたの核。PM/PMOのスキルは、その核を大きく動かすための掛け算です。この順番を間違えないこと。「PMOやりたいです」より、「専門家で、プロジェクトも回せます」のほうが、圧倒的に強い。この掛け算の考え方は、インフラエンジニアが「きつい」と感じたら|経験を掛け算してコンサルで希少人材になる方法でも詳しく書いています。

PMOに向いている人

とはいえ、PMO的な動きそのものが合う人もいます。視野が広い人。コミュニケーションが強い人。そして、計画を綿密に練って、それがうまく回っていくのを眺めるのが好きな人。もしこれに当てはまるなら、あなたの専門性とPMOの掛け合わせは、かなり強い武器になります。

まとめ:PMOは「管理」ではなく「前進をつくる」仕事

PMOは、指示された作業をこなす管理係ではありません。限られた資源の中で、あるいは大きな体制の中で、プロジェクトを止めずに前に進める仕事です。その経験は、確かに市場価値になります。

ただ、転職で本当に強いのは、「PMOになる」を目的にすることではなく、自分の専門性を核に据えて、「PMもPMOも回せます」と見せること。もし今、自分の経験をどう組み合わせて見せればいいか迷っているなら、そこは一緒に設計できます。

あわせて(動画):NEC→クニエのPM/PMO経験を全編で

この動画の背景や見どころは、【メディア出演】『プロジェクトマネジメントの教室』出演記事にまとめています。

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